マネージャーの役割への体系的な理解を。管理職の意識改革への取り組み。
複数専門型総合商社としてファインケミカル、インダストリアル・プロダクツ、サスティナビリティ、ライフサイエンスの4分野で、市場ニーズの高い商品を提供している三洋貿易株式会社様では新任管理職層への研修としてManagement Baseをご導入いただきました。
三洋貿易株式会社 人事総務部 人材開発・企画グループ 竹田 正俊 様
管理職への体系的な教育体制に課題感
マネジメントベース編集部(以下、編集部):
管理職、マネジメント教育に関するこれまでの取り組みを教えてください
竹田様:
マネジメントベースを導入する以前、当社では管理職向けの研修にあまり取り組んでいませんでした。数回、既にマネージャーとなっている社員を対象に座学中心の研修を実施したことはありましたが、体系的な研修設計はできていませんでした。
目的は“脱”プレイヤー視点
編集部:
マネジメントベースをご導入いただいた背景や目的はなんだったのでしょうか?
竹田様:
これまで、マネージャーに昇進する際に研修を行ってこなかったことに課題を感じていました。プレイヤーからマネージャーに昇進する際には、基本的な考え方を大きく変える必要がありますが、その重要性や会社としてどのようなマネージャーになって欲しいのか、ということをしっかり伝えてこなかったという認識がありました。
実際、マネージャーの中には独自のやり方や直属の上司の手法をそのまま引き継いでいる社員も多く、マネジメントが属人的になってしまっていることに対しての課題を感じていました。
具体的には、部下への接し方が一方通行になりがちであったり、業務を部下に任せられないといった点に課題を感じていました。
例えば、プレイヤーとしての意識が抜けず、自身の経験をベースに細かい部分まで口を出してしまったり、一方でほとんど関与しないこともあったり、というようなシーンも見られていました。
そこで、「三洋貿易のマネージャーとは何か」をしっかりと伝える必要があると考えました。
また、組織が大きくなってきたことから、しっかりとした教育体制を整える必要もありました。
このような背景から、今回、30代〜40代のマネージャー1,2年目の社員を対象に、「マネージャー・管理職とは何か、どんな役割でどのような視座や視野が必要か」を学ぶ研修を実施することにしました。
座学以外の学習方法としての解が”マネジメントベース”だった
編集部:
ご導入の決め手はなんだったのでしょうか?
竹田様:
マネジメント業務を疑似体験できるビジネス型ゲームを活用した体験型研修であることが大きな決め手の一つでした。
これまで、座学がメインの研修に対しては「忙しいから参加ができそうにない」「今この時期になんでやるんだ」などのネガティブなコメントが寄せられることが少なからずありました。このため、今回も、座学がメインの研修では「効果が薄い」と感じる声が上がることが予想されたため、グループで話をしたり、ワークを行ったりできる、座学がメインではない研修を探していました。
同時に、せっかく様々な部署のマネージャーが集まる機会になるので、部門を越えたマネージャー間のコミュニケーションのきっかけになればよいなと考えていました。
そうした中で、貴社のボードゲームを用いた研修に出会いました。
当初は、管理職の研修のため、講義や座学だけは好ましくないと言いつつも、会社のメッセージを伝えるためのインプットは必要だと考えていました。しかし、座学の研修だけだとこれまでの研修と変わらないので、違う要素を入れたいと思っていました。
そこで幅広に様々な研修を探しており、いくつかのゲーム研修も見ておりました。
その中で何かをやり遂げる体験型のゲームでチームワークを学ぶ研修も検討しておりましたが、管理職研修としての学びという点で物足りなさが否めず「これだ!」というものが見つかりませんでした。
そんな中、マネジメントの体系的な知識を学べる上に、それだけではなくゲームを通したシミュレーションでマネジメントの疑似体験ができるマネジメントベースに出会いました。
講義によるインプットとシミュレーションを通した疑似体験によるアウトプットをマネジメントという文脈で連動して学べる点が非常に魅力的でした。
座学以外の学習方法としての解が見つかったと感じました。
マネジメントベースだからこそ得られた学び
編集部:
実際に研修を実施してみていかがでしたか?
竹田様:
座って聞くだけでなく、ゲームを通じて手を動かす体験型の要素が非常に良かったと感じています。
講義で学んだインプットをゲームでのシミュレーションを通じて実践できるので、マネジメントとして見ておくべき重要な観点を体感できたと思います。
また、研修の中でマネジメントに関する意見交換が活発に行われ、ゲームを通じて他の受講者の考え方や視点を知ることができた点も素晴らしかったです。
同じ盤面の上で複数人が並行して疑似体験するので、その中でいろいろな考え方やマネジメントスタイルがあるということに気づくことができたと思います。
他の受講者のマネジメントスタイルを見ることで、自分のマネジメントスタイルを客観視することができ、自身の課題を見つけ考え直すことができたのもよかったです。
講師の方の進行もとても良かったと感じています。後日受講者から聞いた話ですが、特に、実際の事例を交えた説明が印象的で参考になったと話していました。
ゲームの中で、受講者一人一人のマネジメント特性が明確に見られたことも印象的でした。メンバー重視の受講者、業務遂行を優先する受講者など、それぞれの癖がよく見えたのではないかと思います。
経営層からも、受講者のマネジメントに対する意識の変化が見られた点について高く評価されています。これまでの研修と異なり、経営層にも受講者のポジティブな声が届いており、人材育成をさらに強化していくきっかけにもなったと感じています。
実際に見られた管理職の変化
編集部:
受講された方々の反応はいかがでしたか?
竹田様:
研修を通して多くの受講者が感じていたのが、人のマネジメントの重要性でした。
受講した社員の多くが営業職であることもあって、業務遂行でいかに成果を上げるかということに焦点が当たりがちなのですが、マネジメントベースを通して、成果を上げるためにはメンバーの育成や関係構築といった人のマネジメントが非常に重要であるということを認識することができたのではないかと感じています。
研修実施後のアンケートをみても、「メンバーとの接し方を変えた」「1 on 1に力を入れ、メンバーとの関係性の構築に力点を置く」「一人一人に合わせたコミュニケーションをするのが大事」といったコメントが見られ、人のマネジメントの観点で変わろうとしている管理職が出てきました。
また、研修を受けることに対する意識も変わったと思います。
これまでは研修を受けても無駄だと感じていた社員が少なくなかったのですが、メンバーに研修を受けるよう促す管理職も出てきました。
実は、マネジメントベース実施後に、マネージャーになる前の社員を対象にしたディスカッション形式の研修(プレマネジメント研修)を実施して、その中で日の当たらない業務を担当するメンバーのモチベーションをいかにして引き上げるか?という課題について話し合ったのですが、その際、先輩管理職からのアドバイスを募集した処、マネジメントベースを受講した管理職の9割近くが、自らの体験も交えて積極的なアドバイス行ってくれました。
マネジメントベースの受講によって生まれた一体感の表れだと感じています。
今後のNEXERAに期待すること
編集部:
今後のNEXERA、マネジメントベースに期待することはありますか?
竹田様:
弊社では、疑似体験ゲームを通じたコミュニケーションの向上が好評だったため、今後は、お互いに業務について本音を語り合うことがしやすくするようなツールなどに期待したいです。例えば、メンバーのマネジメントや他部署の業務について真面目に話をするとなると、素直に言うのが難しいこともあると思います。疑似体験ゲームなどを通じて自分の考えを自然に引き出すことができれば、多くの人が率直な意見交換ができる機会をつくることにも繋がるのではないかと思います。
自分自身の発信だけでなく、他者の発信に対しても意見を言えるような仕組みがあれば、より活発な議論ができたのではないかと考えます。他の人が悩んでいることや取り組んでいることを聞き、意見交換する対話のような時間を作ることができればと感じています。
自燃型人材を育て、会社として今までとは違った進化を
編集部:
今後の管理職、マネジメント層の活躍に向けてどのような取り組みをお考えですか?
竹田様:
今後は、管理職に昇進する社員に対して同様の体験を継続的に提供することで、共通体験を拡げていきたいと考えています。
マネジメント層の考え方が変わることは組織文化の変化にもつながるので、さらに上位層の育成にも力を入れていきたいと考えています。
現在は、まだまだ既存の業務を一生懸命遂行することで業績を上げていこうという考え方が根強いと感じています。もちろん既存の業務を磨き上げ、お客様のお役に立てることはとても嬉しく大切なことで、会社の根幹です。
とはいえ、今の変化の激しい先行き不透明なビジネス環境においては、会社の成長という観点からみると、それだけでは限界があります。
そのため、既存の業務を磨き上げていくことに加え、自ら知恵を絞り、既存の事業とは違う要素を探索し、外部からの新しい知識、最新の情報を取り入れて、会社を強くしていこうとする自燃型の人材を多く育成してくことが大切であると考えています。
そのような自燃型人材を育て、会社として今までとは違った進化を遂げていきたいですね。