
マネジメントの幅を広げ、多様化する組織に対応できる管理職へ
創業110年以上の歴史を持つ食の専門商社として、アジア食や日本産青果物の世界的普及、食の世界に変革をもたらすソリューションの提供を通じて、食産業に携わる人々の幸せと豊かさを追求しているWismettac
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管理職、マネジメント教育に関するこれまでの取り組み
マネジメントベース編集部(以下、編集部):
管理職、マネジメント教育に関するこれまでの取り組みを教えてください。
鈴木様:
2022年度から体系的な管理職研修に取り組み始めました。
そのため、過去2年間は基礎的な知識のインプットであったり、それに関するワークショップといった管理職に求められる基本的な知識やマインド醸成に重きをおいて研修を実施してきました。
研修の形式としては、講義でインプットして、ケースワークやグループワークで実践するという形式で実施することが多かったです。
すごく基礎的なことですが、心理的安全性や1on1など、これまでマネジメントの言語として浸透していないものが多かったので、過去2年間の取り組みで、役員から一般管理職まで同じ研修を受けることで、マネジメントの共通言語の醸成に繋がったと思います。
これまでの属人的なマネジメントからの脱却を
編集部:
マネジメントベースをご導入いただいた背景や目的はなんだったのでしょうか?
鈴木様:
基礎的な知識のインプットはしてきたものの、自分がメンバーだった頃に受けてきたマネジメントスタイルが正しいと思っていたり、自分たちの部署だったりカルチャーには合わないという風に思っている管理職も一定数いる状況でした。
研修の観点では、いくら知識をインプットしても、「言ってることはわかるけど、うちには合わない」と一蹴されてしまうこともあり、なかなか定着に繋がらないことや腹落ち感があまりないことは課題として感じていました。
また、組織運営上の課題という観点では、全体的にコミュニケーションに課題を感じていました。
管理職がメンバーのことをわかっていると思っていても、実際には部下が思っていることと上司が思っていることが違っていることがあったり、評価の話はするけれど、今後のキャリアパスや日頃何を思って業務にあたっているかといった会話がなく、上司から部下への一方的なコミュニケーションとなってしまっている場面もあることが課題でした。
これまでは、そのスタイルでうまく回ってきたので、これからもうまく回るだろうという考えがあり、同じマネジメントの方法を踏襲してきてしまっているように感じていました。
ただ、新卒採用でも日本語力がビジネスレベル未満の外国籍の方を採用するようになったり、中途採用でも様々なバックグラウンドを持つ方々を採用するようになり、組織も多様化しはじめています。
その中で、マネジメントをする側も今までのやり方だと部下がついてこなくなる状況が、今すぐではなくとも、これから先に起こり得ると考えています。若手社員が沸々とフラストレーションを抱えていることに気付けないまま退職になってしまったり、メンタルを病んでしまったりということが、いずれ起きてしまうのではないかという点に、人事としては危機感を持っています。
今後対処していくためには、コミュニケーションやマネジメントのスタイルを少しずつ、根本的に変えていかないといけないと考えています。
そのため、研修を通じてほかの部門の人たちがどのようなマネジメントをしているのか、世間一般でどのようなマネジメントのスタイルがあるのかを知っていただいて、自分のマネジメントの思考の癖であったり苦手な部分を認識していただきたいと考えていました。
そのうえで、これまで学んできた理論を体系的に理解し、マネジメントに困ったときの武器になるようなものを提供できればと思っていました。
そのような背景から実践的な研修を探している中で、マネジメントベースを見つけ、部下を複数人持つ管理職を対象に実施するに至りました。
導入の決め手
編集部:
ご導入の決め手はなんだったのでしょうか?
鈴木様:
理論をインプットして、インプットしたことを実際にゲームでアウトプットする、そしてそのアウトプットがゲームの結果として出てきて、その結果を踏まえてまた最後にインプットの時間があるという、他社さんにはない研修スタイルが大きいです。
ゲーム型研修の導入は初めてでしたが、座学で学び、ケースワークのようなワークショップをやるだけよりは、実際に手を動かしてみて、それによってどのような成果が出るか、というのがゲームの結果として見えるというのは、自分のマネジメントの癖を見つける上で非常によいアプローチの仕方だと感じました。
インプットとアウトプットを一日の中で何度も行うことで知識も定着しやすく、詰め込まれるだけでなく、実際の体験から学ぶことで納得感があったと思います。
マネジメントのシミュレーションにおいても、様々なタイプの部下を想定したものになっており、よりリアルな体験からマネジメントを理解できるのではと考えています。
長年築かれてきた文化を一気に変えるのはなかなか難しいので、徐々に変えていくしかないと思っています。
今回の研修でも様々なコンテンツを詰め込んでいただいて、教科書的な立ち位置で資料もいただきましたが、管理職へのメッセージとしても、今までのやり方がダメですよというのではなく、「今までのやり方ではどうしようもない場面に、新しい武器として皆さんが使えるものを研修の中でお渡しする」というメッセージを伝えていました。
実際に研修を実施してみてよかった点や感想・受講者の反応
編集部:
実際に研修を実施してみていかがでしたか?
鈴木様:
研修でよかった点は、ゲーム形式で組織マネジメントを疑似体験できる点です。
今まで無意識的にやっていたことを言語化して理解できたという点もすごくよかったです。
ゲーム型ということで、講義でインプットするのみの研修よりも集中して取り組むことができていたと思います。
ゲームをして終わりだとどうしても「楽しかった」で終わってしまうところですが、講義でもきちんと知識を体系化してくださったので、自分のマネジメントのスタイルは実はこういうやり方だったのかという気づきもあったと思います。
アンケート結果でも、「無意識であったが理論に基づいた行動ができている」という声や「自身の日々の会話が間違えているかもしれないことに気づけた」という声がありました。
印象的だったのは「1on1の日程を上司の都合で勝手に変えてしまう」という皆さんがやりがちなことに対して、「変えてしまうことの影響」を学びになった点として挙げている方も複数おり、もともと目的としていた自身のマネジメントの苦手な部分や思考の癖の部分に気づいていただくきっかけに、この研修がなっていると感じられました。
また、ゲーム自体がマネジメントのシミュレーションという側面で、非常によくできているなと感じました。例えば、メンバーの育成にばかり目をかけていると成果が出しづらくなっていたり、逆に成果ばかり追っているとどんどん部下のモチベーションが下がっていくといった仕組みになっており、リアルなマネジメント現場を再現していると思いました。
講義の部分では、最初テキストをいただいた段階ではかなり内容が充実していたので、詰め込み気味になってしまうのかなとも思ったのですが、講義の中で教科書的な立ち位置で使ってくださいと一声かけていただき、講義の中でも重要な部分は重点的に解説いただいて、流すところはさらっと流していただいて、メリハリがあり非常によかったです。
アンケート結果でも、詰め込みすぎという声が上がるのではと心配していたのですが、そのような声は出てきませんでした。
ケースワークの部分も事前のすり合わせ通りに実施していただき、全体としてクオリティ高く研修ができたと感じています。
ケースワークを加えて、より身近な課題にもアプローチ
編集部:
人、組織マネジメントのテーマに加えて、ケースワーク(具体例を出したケーススタディ)も実施いただきましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?
鈴木様:
研修を通して、受講者の方々に有益な情報を得られたという持ち帰り感を得てほしいと考えていました。
そのため、実際に起こりうるケースを想定したケースワークを通して、納得感であったり他の人の考え方を身近に知ってもらえる研修になると思い、ケースワークも実施しました。
講義でインプットし、ゲームでアウトプットして得た学びをケースワークで身近に起こりうるケースに落とし込んで考えることで、より学びを新しい武器として身につけられたという持ち帰り感を得られたと感じています。
今後の管理職、マネジメント層の活躍に向けた取り組みについて
編集部:
今後の管理職、マネジメント層の活躍に向けてどのような取り組みをお考えですか?
鈴木様:
新任か既任かといった枠組みで研修に取り組んできたのですが、今後はより既任の中でも階層分けして、研修を含めた人材育成に取り組んでいこうと考えています。
1on1を例にしても、管理職の階層が異なると取り組むべき内容は変わってくると思うので、レベルに合わせた研修をしてほしいという声もありました。
研修に対する向き合い方が少しずつ変わってきているので、より階層分けし、それぞれの課題に合わせた研修を実施していきたいと考えています。